離婚問題

婚姻費用の計算と特有財産からの収入

この記事を書いたのは:林 太郎

1 婚姻費用の額については、双方の収入とお子さんの人数や年齢によって、                      いわゆる算定表に当てはめて金額を算出する、標準算定方式を用いることが定着しており、それによって婚姻費用の金額は概ね決まってきます。

2 しかしながら、会社員や公務員の場合であっても、給料以外に、相続で取得 した賃料収入があったり株式の配当収入があるような、特有財産からの収入があ るようなケースには、そもそも婚姻費用を算定するにあたっての収入の額につい て争いとなる場合もあります。

 この点、大阪高等裁判所平成30年7月12日決定は、特有財産からの収入であっても、これが双方の婚姻中の生活費の原資となっているのであれば、婚姻費用分担額の算定に当たって基礎とすべき収入とみるべきである、と判断しています。

 そうすると、特有財産からの収入であっても、婚姻中(同居中)の夫婦の生活費に充てられていたのであれば、婚姻費用分担額の算定にあたっての収入に入れることになりますし、逆に、夫婦の生活費に充てられていなければ婚姻費用分担額の算定にあたっての収入に入れることはできないことになります。

 上記の点については、当然に婚姻費用分担額の算定にあたっての収入に加えるという考えもありますが、前記裁判例のような考え方もありますので、その点も踏まえて、主張立証をしていくことが必要になります。

3 旭合同法律事務所岡崎事務所(TEL0564-64-3490)では、そのような問題についても対応しておりますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。


この記事を書いたのは:
林 太郎