離婚問題

別居中の妻が夫の同意を得ずに融解胚移植により妊娠

この記事を書いたのは:川口 正広

とある夫婦は別居中であったが、妻が夫の同意を得ることなく、別居前に凍結保存していた体外受精した卵子(夫の精子で体外受精させた卵子を培養した胚)を使って妊娠し、子を出産しました。

その際、妻はこの移植に関する(夫の)同意書を偽造して、クリニックに提出していた。

その後、この夫婦は離婚が成立したが、元夫が元妻に対して、慰謝料等の損害賠償請求を提起した。

裁判所は、子をもうけるか否か等を決定できる自己決定権が侵害されたとして慰謝料500万円を認めた。

しかし、元夫が求めていた将来の養育費相当額の損害賠償については、養育費については未だ何も決められておらず、本件訴訟とは別で解決されるべき問題であるとして元夫の損害とは認めず棄却した。

子が生まれると当然養育費の問題が出てきますが、支払の要否及び額については家庭裁判所で決めるべきであると考えたようです。

@大阪高裁令和2年11月27日判決(判時第2497号33頁)


この記事を書いたのは:
川口 正広