労働問題

競業行為(会社を辞めた後に、辞めた会社と同じ事業をやっても大丈夫か!?)

この記事を書いたのは:林 太郎

在職中又は退職後の従業員が使用者と競合する事業活動を差し控える義務を競業避止義務といい、就業規則等で当該義務を明記しているケースが多いと思います。

役員の競業避止義務については会社法に規定がありますが、従業員の競業避止義務は法令上明確な根拠規定はないと思われます。しかし、在職中の従業員は、仮に就業規則等で競業避止義務が定められていなくとも、労働契約に付随する誠実義務の一環として、競業避止義務を負うと解されています。

退職後はどうでしょうか。従業員の退職後の競業は、原則としては自由と考えられますが、就業規則に規定がある場合や入社時退社時に個別に合意していた場合には競業避止義務を負うことになると考えられます。

では、就業規則に規定はなく個別合意もない場合はどうでしょうか。その場合でも、職業選択の自由や自由競争の原理を逸脱する競業が行われたときは、使用者に対する不法行為が成立する余地があるとされており、最高裁も同様の考え方を示しています(最一小平成22年3月25日)。

競業禁止規定や特約の有効性が問題となることもありますが、競業禁止義務の期間が長期に及ぶ場合は、有効とはなりにくいでしょう。

競業避止義務違反がある場合、同義務違反と相当因果関係のある損害について、使用者は賠償請求することが可能ですし、元従業員は賠償請求される可能性があります。

競業避止義務の問題も単純にはいかない場合が多いですが、当事務所(旭合同法律事務所岡崎事務所)は、そのような問題でもご相談にのりますので、まずはお気軽にご相談ください(TEL0564-64-3490)。


この記事を書いたのは:
林 太郎