借金問題

給与ファクタリング契約は公序良俗に反して無効

給与ファクタリング契約とは

私は、お金に困って、毎月の給与債権のうち7万円分を、ファクタリング業者に4万円で買い取ってもらいました。

ただし、翌月の給料日に7万円を支払えば、譲渡した給与債権(7万円)を買い戻せるという合意もしました。

そして、買戻期限までは、ファクタリング業者は勤務先に対して債権を譲り受けた旨の通知(債権譲渡通知)をしない約束となっています。

以上が、給与ファクタリング契約の内容となります。

事案の経緯

私は、その後、毎月のように、7万円の給与債権を4万円で買い取ってもらい、翌月の給料日には7万円で給与債権(7万円)を買い戻すということを繰り返しました。

買い戻しができないと、勤務先に債権譲渡通知がなされてしまい、そうすると、私の信用損なわれるので、必死になって買い戻しました。

しかし、私は、4万円を受け取り、7万円の買い戻し代金を支払うわけですから、次第に、これまで以上に経済的に困窮してしまい、いよいよ買い戻すことができず、ファクタリング業者は勤務先に債権譲渡の通知をしてきました。

ただ、勤務先は事情を理解してくれ、ファクタリング業者に対して、給料は全額従業員である私に支払うと回答してくれました。

しかし、その後、ファクタリング業者は、私に対して、買戻合意(ファクタリング契約)に基づいて7万円を支払えと裁判をしてきたのです。

裁判の顛末

裁判所は、以下のように述べて、給与ファクタリング契約は公序良俗に反して無効であると判決しました。

①給与ファクタリング取引に基づき給与債権が譲渡されたとしても、法律上、勤務先は従業員に対して賃金を支払う義務があり(労基法24条1項本文)、ファクタリング業者は勤務先に対して給与の支払いを求めることは許されない(最高裁昭和43年3月12日判決)。

②そうすると、給与ファクタリング取引というのは、貸付けによる金銭の交付と返還の約束と同様であり、貸金業法や出資法にいう貸付に当たる。

③本件では、4万円を貸し付けて、翌月の給料日に7万円の返済を受けるというものであるから、年900%の利息の契約をしたものと認められる。これは、出資法の定める刑事罰の対象となるほどの暴利行為であり公序良俗に反し無効である(不当利得請求であったとしても不法原因給付にあたる)。

以上から、ファクタリング業者の支払請求を棄却してくれたのです。

@東京地裁令和2年3月24日判決(判時第2470号47頁)