借金問題

市営住宅の連帯保証人

この記事を書いたのは:川口 正広

平成16年、娘が市営住宅に入居するときに、母である私は連帯保証人となりました。当時、娘は母子家庭で生活保護を受けていました。しかし、平成27年、娘の生活保護が廃止されると、娘は市営住宅の家賃を滞納するようになりました。

そのため、連帯保証人の私のところに督促が来るようになりましたが、私も70歳を超えて年金生活をしていたので支払うことができず、一方で、どんどんと滞納家賃が膨らんでいたので、平成28年からは、娘を市営住宅から追い出すなど厳しく対応して欲しいと繰り返し要望しておりました。

しかし、市は、家族で話し合ってほしいというばかりで、具体的に市営住宅の契約解除や明渡手続きをとることはなく滞納家賃ばかりが膨らんでいきました。平成29年ころからは娘が行方不明となり、平成30年になってようやく明け渡し手続きをしてくれました。

その後、それまでの多額の滞納家賃を請求されてしまいましたが、私は、速やかに退去手続きをとれば滞納家賃はここまで膨らむことはなかったとして支払いを拒絶し、裁判に発展しました。

裁判所は、賃貸人は保証人の債務が不当に拡大しないようにする信義則上の義務を有し、それに違反したとして連帯保証契約は解除された、賃貸人による滞納家賃の請求は権利濫用ともいえる、として、平成28年以降の滞納家賃については支払う必要がないと判決してくれました。

@横浜地裁相模原支部平成31年1月30日判決(判時第2420号96頁)


この記事を書いたのは:
川口 正広