労働問題

ホスト・ホステスの罰金制度

この記事を書いたのは:川口 正広

ホストをしていた人から、働いていたお店から、約束した罰金を払えと言われている、という相談がありました。詳しく聞くと、遅刻や欠勤をすると1回につき一定の罰金を払うという店舗契約があったそうで、その契約に基づいて罰金を払うようにと言われているとのことでした。

法律的には、このような罰金制度というのは、違約金又は損害賠償額の予定を定めた契約(合意)といわれるものです。

まず、ホストが労働基準法上の労働者に該当するかが問題にはなりますが、基本的には労働者とみてよいと思います(東京地裁平成27年7月14日判決も労働者と認定しました)。

そうすると、労働基準法16条は次のように定めています。「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」つまり、労使の間では、違約金や損害賠償額を予定する契約をしても無効になるというものです。

そうすると、お店からホストに対して請求がなされている罰金なるものは無効だと言うことで、支払義務はないということになります。

法律上無効なことであるのに、当たり前のように行われていることに不条理を感じます。

以前、ホストクラブの経営者の方から相談を受けたこともあるのですが、その経営者は、ここで述べた法律知識を持ち合わせていました。経営側は無効であることを承知の上でやっています。

経営者に言わせると、罰金制度がないと従業員がすぐに休んだりするからというものだそうです。出勤を促したいなら、皆勤手当を設けたらどうかとアドバイスしましたが、その後、アドバイスを受け入れたかどうかは分かりません。


この記事を書いたのは:
川口 正広