財産管理
任意後見と取消権
この記事を書いたのは:川口 正広
任意後見契約は、事前に自ら後見人を決めておく委任契約であり、本人の判断能力が不十分な状況となり家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されると任意後見契約の効力が生じる。
しかし、任意後見契約の効力が生じても、本人の行為能力が制限されることはないし、任意後見人に取消権が付与されることもない。つまり、本人は法的には行為能力者であり、消費者被害などを被ったとしても制限行為能力を理由とした取消権による救済はできないこととなっている。
また、任意後見契約を締結してしまうと、本人の利益のために特に必要がある場合でなければ、法定後見を利用することもできない(任意後見契約法10条1項)。
任意後見契約は、本人の自己決定を尊重する手続きではあるものの、その限界もあることをよく理解した上で利用する必要があります。
@銀行法務21(No.898・20頁)参照
この記事を書いたのは:
川口 正広