交通事故により看板や建物を損壊した場合の修理費
この記事を書いたのは:林 太郎
交通事故は、車同士や車と人との間だけでなく、車が建物や看板の衝突するといった場合も生じます。そのような場合も、当然、加害者は被害者に対し、建物や看板の修理費の賠償をすることになります。
しかし、車両の場合、経済的全損という考え方があり、被害車両の事故時の価値より、修理費の方が高額な場合には、事故時の価値の価額を賠償すればよいとされています(修理費全額を支払ってもらえません)。そうすると、建物や看板の損壊の場合にも、修理費が高額な場合(建物や看板の価値より高額な場合)、建物や看板の時価額しか請求できないのでしょうか。
この点、車両と同じように、時価額しか請求できないと考えることも可能ではありますが、損壊した建物や看板と同程度の物(中古)を市場で入手するというのは困難であろうと思われることから、車両と同じように経済的全損の考え方を採用するのは妥当でないように思います。実際、「被害者が不当利得を得たような場合であれば格別、相当な範囲の修理を施しただけの場合には、原状回復そのものがなされたにすぎないというべきである」と判断して、修理費を損害として認定している裁判例もあります(東京地裁平成7年12月19日判決)。
旭合同法律事務所岡崎事務所(TEL0564-64-3490)は、そのような問題にも対応しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いたのは:
林 太郎