消費者問題

別れさせ屋(別れさせ工作委託契約)

別れさせ工作委託契約の締結

平成28年4月、探偵をしている私のところに、ある女性から依頼があった。その女性は以前付き合っていた男性と復縁したいのだが、その男性(対象男性)が今は別の女性(対象女性)と交際しているのだという、そこで、対象男性と対象女性とを別れさせて欲しい、というものだった。

私は、依頼女性との間で、「別れさせ工作委託契約」を締結し、早速動くことにした。契約内容は、着手金80万円、成功報酬金40万円である。

別れさせ工作の実行

私は、工作員女性を選定し、対象男性に接触するように指示し、その接触に成功した。そして、工作員女性は、対象男性との間で連絡先を交換し、食事をするなどした(肉体関係はない)。

平成28年5月、対象男性と対象女性が電車に乗っているところへ、工作員女性とその友人役女性とが乗り込んで声を掛け、降車駅近くの喫茶店で話し合いをし、対象男性が浮気していると暴露した。

二股を掛けられた形となった対象女性と工作員女性は、対象男性と別れる旨発言した。その上で、工作員女性は、対象女性が対象男性と本当に別れるかどうかを確認するために、連絡先を交換した。

そして、平成28年7月、工作員女性は、対象女性から対象男性と別れた旨の連絡を受け、別れさせ工作が成功したことを確認した。

成功報酬の請求

そこで、私は、依頼女性に対し、「別れさせ工作委託契約」を完遂したので、成功報酬金等を請求したところ、その依頼女性は、いろいろと難癖をつけて一部しか支払ってくれなかった。

そのため、私は依頼女性に対し、裁判を提起した。すると、その依頼女性は、私と依頼女性との間の「別れさせ工作委託契約」は公序良俗に反する契約であるので、支払義務は存在しないと争ってきた。

裁判所は、次のように述べて、私の依頼女性に対する報酬請求を認めてくれた。

「本件契約の目的達成のために想定されていた方法は、人倫に反し関係者の人格、尊厳を傷つける方法や、関係者の意思に反してでも接触を図るような方法であったとは認められず、また、実際に実行された方法も、工作員女性は対象男性と食事をするなどというものであった。そのため、本件契約は、関係者らの自由な意思決定の範囲で行うことが想定されていたと言えるのであって、公序良俗に反するとまでは言えない」

@大阪地裁平成30年8月29日判決(判時第2487号83頁)