YouTubeにおける肖像権侵害
この記事を書いたのは:川口 正広
撮影者と被撮影者はどちらもユーチューバーであったが、被撮影者が警察に公道で逮捕されたときにたまたま通りかかった撮影者によって、逮捕された様子が撮影され、それを撮影者がYouTubeに動画配信したという事案です。
この事案において、被撮影者が撮影者に対し、肖像権を侵害したとして不法行為に基づく損害賠償請求をしました。
人の肖像を無断で使用し肖像権侵害として不法行為法上違法となる場合(賠償責任が発生する場合)は次のとおりとされています。
1)第1類型(プライバシー侵害型)
被撮影者の私的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が公共の利害に関する事項でないとき
2)第2類型(名誉感情侵害型)
公的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が社会通念上受忍すべき限度を超えて被撮影者を侮辱するものであるとき
3)第3類型(平穏生活侵害型)
公的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が公表されることによって社会通念上受忍すべき限度を超えて平穏に日常生活を送る被撮影者の利益を害するおそれがあるときなど、被撮影者の被る精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとき
裁判所は、
本件逮捕動画の内容は、白昼路上において被撮影者の容貌等が撮影されたものであるから公的領域において撮影されたものである。
そして、本件逮捕動画の内容は、被撮影者が仰向きの状態で警察官に制圧され白昼路上において手錠をかけられて逮捕されたという現行犯逮捕の状況を撮影されたものであり、被撮影者の名誉感情を侵害し受忍限度を超えて侮辱するものといえる(第2類型の認定)。
以上から、動画配信した撮影者に対し、30万円の賠償を命じました。
@東京地裁令和4年10月28日判決(判時第2555号15頁)
この記事を書いたのは:
川口 正広