相続放棄の救済事例
この記事を書いたのは:川口 正広
平成29年、母方の妹(叔母)が亡くなったが、長らく交流もなく死亡の事実も知らなかった。平成31年2月になり、市役所から固定資産税の納付書が届き、自分ら(母の子供3名/代襲相続人)が相続人であることを知った。
その後、令和元年5月、相続人3名で相談し、その内の1人が代表として相続放棄をすれば良いのだろうと考えて、1人が相続放棄の手続をした。
令和元年6月、市役所から、固定資産税の具体的な滞納額や相続放棄は各人がやらないといけないことの説明を受けた。そこで、他の相続人も直ちに相続放棄の手続をした。
一審は、相続放棄の熟慮期間(3か月)は、平成31年2月から開始しており、本件相続放棄はそれを過ぎているからと言うことで相続放棄を却下した。
しかし、高等裁判所は、本件相続放棄の手続が遅れたのはやむを得ない以下の事情があったとして、相続放棄を受理する決定をした。なお、熟慮期間の起算日は、具体的な滞納額の説明を聞いた令和元年6月とした。
1)相続人の代表者が行えば放棄の手続は完了したとの誤解があった
2)被相続人の遺産についての情報が不足していた
3)相続人は高齢であり、被相続人との交流は全くなかった
なんにせよ、これで相続放棄が受理されたのは不幸中の幸いでしたね。別の見方をすれば、相続放棄については救済事例があるので、諦めずにチャレンジすることが大切ですね。
@東京高等裁判所令和元年11月25日決定(判時2450・2451合併号5頁)
この記事を書いたのは:
川口 正広