境界杭を勝手に設置されてしまった!
この記事を書いたのは:川口 正広
境界を示すために設置する目印を境界標といい、石杭、コンクリート杭、金属標などがあります。
土地所有者は、隣地所有者と共同の費用で境界標を設置することができるとされており(民法223条)、この規定の趣旨から境界標を設置するには隣地所有者の承諾が必要と解されています。
仮に、隣地所有者の承諾を得ずに境界標を設置されてしまった場合には、除去請求をすることができます(岡山地裁昭和35年8月23日判決)。
しかし、除去請求をしても相手方が応じなかったとしても、勝手に境界標を取り除いてしまうと犯罪が成立する恐れがあるので(境界損壊罪)、きちんと法的手続きをもって除去を求めていく必要があります。自力救済はやはりダメということです。
なお、相隣者間の合意に基づいて境界標が設置されても、それによって法的に筆界(地番と地番の境界)が確定するわけではありません(最高裁昭和31年12月28日判決)。境界標が筆界を示す重要な手がかりであることは間違いありませんが、他の資料等の関係から真の筆界が明らかになる場合もあります。
また、筆界が明らかになったからといっても、それが所有権界(土地所有権の境界)と同じだとも限りません。通常は、筆界が所有権界を示していますが、取得時効等の関係で筆界と所有権界とが異なることもあります。
筆界であれ所有権界であれ、境界紛争はお隣同士の紛争ですから、感情的にならずに冷静に話し合うことが強く求められると感じています。
この記事を書いたのは:
川口 正広